*Just the Way You Are* ~はみ出し者の旅~

サッカー、音楽、旅などについて書いてます。遠回りの人生の中で感じたことを只々、綴っています。お問い合せはフォームより。

【日本サッカーの未来】 vol.5 「原口元気」〜新天地での再出発と、ロシアへの確固たる想い〜

 

 

 

クラブからの評価


 気持ちのこもったPKだった。W杯イヤーの2018年を迎え、ロシアW杯を約4ヶ月後に控えた中、ベルリンからデュッセルドルフへと戦いの場を移して1週間あまり。2試合目にして、スタメンでの起用。クラブや指揮官からの評価は、それが全てを表していて、言うまでもないだろう。しかし、この試合で存在感を示せなければ、それは直ぐに失望へと変わり、序列も下がってしまう恐れもあった。

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アウェイ vsカイザースラウテルン




気持ちの入ったゲーム


 前半、気持ちが入っているのは、プレーから観て取れた。開始1分、個人技からシュートまで持ち込む。このゲームのファーストシュートだった。しかし、少し空回りしている感じもあった。動き出してもなかなか、ボールが入らない場面がいくつもあり、難しい状況だと感じた。連携面での課題は、加入して間もないため、致し方ない。時間の経過とともによくなっていくだろう。

ビハインドから、存在感を発揮した後半


 後半開始早々、右サイドの仕掛けに堪らずファール。カイザースラウテルンにPKを与えてしまう。これを決められて、ビハインドの状況に陥った。この1点がより一層、難しい状況を作り出してしまうことが容易く予想出来た。

それでも、61分、ペナルティーエリア内でこぼれ球に反応し、原口が自らPKを獲得。会場が沸く中、一人ボールを抱えた原口元気がいた。右足から放たれたボールは、ゴール左へ。お世辞にも良いコースだったとは言えなかったが、ゴールキーパーに触れられながらも、ゴールへ吸い込まれた。原口の移籍後初ゴールで同点に追い付いた。

 

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輝きを放った背番号25



気持ちがこもったゴールだった。ゴール後のセレブレーションは、その気持ちが溢れたのか、いつもよりも力強かった。ロシアへ行くために、ロシアで活躍するために、新天地を求めた。その強い気持ちが、このゴールを生んだのだ。

ゴールだけでなくお膳立ても


 その後、1点を追加し、逆転に成功したフォルトゥナは、後半ロスタイムに、宇佐美から前を向けというメッセージ付きのパスを受けた原口が中へ仕掛け、最後はフリーのルーカス・シュミッツへのスルーパス。これをシュミッツが決めて、アシスト。

初スタメンで、1G1A。新天地へやって来た背番号25番は、目に見える結果を残し、輝きを放った。チームの勝利を引き寄せたのは、間違いなく原口元気だろう。ロシアW杯が間近に迫る中、ツヴァイテリーガでの戦いを選んだ。その覚悟を持って、ロシアの切符を狙う原口元気から目が離せない。

ヘルタでの冷遇の日々


 夏の移籍市場でイングランド・プレミアリーグのブライトンなどイングランドへの移籍が報じられたが、移籍は実現しなかった。移籍の可能性を公言し、ヘルタとの契約延長を申し入れられたが、原口は首を縦に振らなかった。観ている側としても、次のステップへ行くべきだと感じていた。ヘルタでは、役割が明確で、守備に割く比率が高すぎた。もちろん、そこで存在感を示したことで、レギュラーを確保したのだが、日本代表にとっても、原口自身にとっても、もっとゴール前での役割を担えるクラブへ行くべきだと感じていたからである。

ヘルタに残留し、シーズンが始まった。プレシーズンでは、ピッチを外から眺める時間が長かった。出場しても、数合わせのようにサイドバックでの起用だった。リーグが開幕を迎えても、その冷遇具合は、顕著になり、その序列は、フォルトゥナへの移籍のリリースが出るまで、変わることはなかった。それでも、バイエルン戦で見せたドリブルからのアシストは、鮮烈なプレーだった。シャルケ戦で退場処分を受けてからは、クラブは露骨だった。移籍するまでベンチ外の日々が続いた。

W杯を左右する運命のウインターブレイク


 運命のウインターブレイクを迎えると、移籍の報道が加速した。ブンデスリーガのブレーメンからの興味や、Jリーグ、浦和への復帰も報じられていたが、正直、Jリーグへの復帰はあるわけがないと思った。欧州で戦いを続けるだろうと思っていた。それだけ、彼は、4年間の全てをロシアにかけてきたのだ。

ツヴァイテのフォルトゥナからロシアへ


 結果的に、フォルトゥナ・デュッセルドルフへの移籍を選んだ。ツヴァイテリーガ、つまりドイツ2部への移籍に、懐疑的な目で見る人たちや、批判的な意見もいくつか目にしたが、この移籍はプラスに働くだろうと思う。ヘルタでは、8割程の力を守備に割かなければならなかったが、フォルトゥナでは、攻撃での役割を求められているからである。途中出場の前節も、先発で出場した今節も、守備よりも、攻撃で力を発揮出来るチームだと感じた。もちろん、ツヴァイテで現在首位を直走るクラブであることからも、それは想像できるかと思う。

しばらく、実戦から遠ざかっていたことも少なからず影響したのかもしれないが、気合の入った表情の中に、時頼覘く表情から、純粋にサッカーを楽しんでいる様子が伝わってきた。ヘルタでの最後の日々は、苦しかっただろう。そんな様々な鎖から解き放たれて、心からサッカーを楽しむ姿がそこには確かにあった。ここで、レッズ時代のようなドリブルからのゴールを一つでも多く観たいと心から思った。


ドイツでの活躍する姿は、思い描いていたものとは違った


 レッズからヘルタへの移籍が決まったときに、誰もがブンデスリーガで、そして日本代表で、強烈な個を武器にして、活躍する姿を思い描いただろう。僕もその一人だった。ヘルタでの活躍、そして、日本代表での活躍は、良くも悪くも誰もが想像していなかった形になった。これだけ、守備で闘える選手になるとは、原口自身も思っていなかったのではないだろうか。ヘルタで得たモノをベースにして、残りの期間で攻撃面での真価が問われる。今一度、原点に帰る時がやってきたのだ。今の日本代表に一番必要なのはこの力だ。人数を掛けずに、ロシアでゴールネットを揺らすには、一人で何人を剥がせるか、これにかかっている。


4年間の誓いと覚悟、その舞台での勝利へ


 ロシアワールドカップへ向けて、新たな挑戦の幕が切って落とされた。4年前、「僕らの代表がブラジルの地で1勝も出来ずに大会を去った。その事実が悔しいし、そこに行けていない自分に腹が立つ、4年後は、自分がW杯に出てチーム(日本代表)を勝たせられる選手になりたい」と誓い、代表選手が帰国した日に、その裏で一人、ドイツへと覚悟を持って出発した。ブラジル大会のメンバー以上に悔しさを噛み締め、4年間の全てをサッカーに注いできた一人の男の、悔しさを晴らす舞台がすぐそこまで迫っている。ロシアでのキーマンは、新天地で真価を発揮する原口元気になるかもしれない。

 

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