*Just the Way You Are* ~はみ出し者の旅~

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【日本サッカーの未来】vol.7 「宇佐美貴史」Takashi Usami ~この男は、這い蹲ってでも結果を残す~




 約9ヶ月ぶりに、この男が日本代表に帰ってきた。ハリル・ホジッチ監督の就任当初は常にリストに名を連ね、今頃は、ロシアへ挑む代表チームの主役になっているはずだった。

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二度目のドイツ挑戦


 日本国内では十分に力を発揮してきた宇佐美だが、2度のブンデスリーガ挑戦も、思うような結果を得られずにいる。19歳の時に加入したバイエルン、その後のホッフェンハイムでも、レギュラーを勝ち取れずに、G大阪に復帰している。復帰したJリーグでもう一度結果を残して、再びドイツへと渡った。しかし、加入したアウクスブルクで、出番は多くなかった。「2度目は這いつくばってでも、結果を残す」と覚悟を決めての移籍だったが思い通りには行かず、代表チームからも遠ざかっていった。もちろん、ドイツで全く結果を残せなかった訳ではなく、ホッフェンハイム時代の4人抜きゴールなど、スーパーなものもあったが、プレーにも、結果にも、継続性があまりなかったと言わざるを得ない。

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代表に戻るため、自身の成長のために新天地へ


 窮地に立たされた宇佐美は、ロシアへ行くために、出場機会を求めて、ツヴァイテリーガ(ドイツ2部)のフォルトゥナ・デュッセルドルフへと期限付き移籍。スタメン出場の機会もあったが、徐々にベンチスタートが定位置になってしまう。その中でも、チームを救うゴールなど、決定的なゴールを決め、存在感を示した。そんな2017年の冬に、移籍問題もあり、ヘルタ・ベルリンで出場機会を失っていた原口元気がフォルトゥナへやって来た。



宇佐美にとってもポジティブな要素だった原口の加入


 奇しくも代表では同じポジションを争う2人がドイツの地で共に戦うことになった。この原口の移籍は、原口自身だけでなく、宇佐美にとっても良い方向に働いた。原口加入後から、出番を徐々に増やし、4試合連続ゴールを決めるなど、代表復帰のチャンスを手繰り寄せた活躍を見せた。ある程度、守備の場面でも改善が見られた。まだまだ、課題はあるにせよ、ハリル監督が招集した理由は、ゴールを決める、シュートを決めきるという点を評価したからだろう。ここへ来て、攻撃陣には、守備よりも得点力が求められている。もちろん、ベースとして、守備でファイト出来るかどうかは観られているだろうが、本大会で勝ち切っていくためには、少ないチャンスをものにしていかなければならない。



日本にとって宇佐美は特別な選手


 10代の頃から将来を嘱望されたドリブラーも25歳になった。ヴェルディ時代だったと記憶しているが、今回初招集となった中島翔哉が、当時バイエルンに所属していた宇佐美について、「宇佐美選手は、特別な日本人選手」と同じドリブラーについて語っていたのを覚えている。強烈な個の力で相手を切り裂き、ゴールを奪える選手は、日本には全くと言っていいほど、存在しない。そんな“強烈な個”になり得る選手が、宇佐美と、その背中を観ていた中島かもしれない。そんな二人が代表で共演する瞬間が訪れるかどうかも、楽しみの一つになりそうだ。



 



宇佐美にしても、翔哉にしても、今の代表では献身的な守備を求められるが、守備面に重きを置いて欲しくない。守備の向上や、守備面での成長なんてしなくていいと思っている。もちろん、日本のレベルを考えると最低限、守備の組織としての役割は果たさなければならないが、守備が評価される選手にはなって欲しくない。


内に秘めた強い思いが今回の欧州遠征で、観られるだろう。前回の召集時とは、違う宇佐美の姿が観られることを期待したい。最も熾烈な争いとなっているウィングのポジションで、這い上がってきた男は、果たして本大会のメンバーに生き残れるだろうか。


 

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