欧州遠征の2試合を1分1敗で終える結果となった。未だにメンバー選考の真っ最中でスタメンすら固定できていない状況であるため、チームの成熟度は低く、さらには、今までやってきたサッカーと方向性の違うサッカーをやろうとしていた印象を受けた。それは、今回の招集メンバーからも受け取ることができた。
2試合を通して、日本サッカーに欠けているモノを感じた。まず感じたのは積極性の無さだ。仕掛けていく場面が試合中にほとんどないことが気に掛かる。それはビハインドになってからも同じで、もっとリスクを冒してでも仕掛けていかなければゴールは奪えないし、相手にとっても怖くない。
次に感じたのは、ビハインドの状況になってから勝負しようとする姿勢が圧倒的に欠如している点だ。原口や中島のプレーからは自らがこの状況をなんとかしようとする気持ちが感じられる。他人任せにせず、自らが仕掛け、決断することでゴールに迫った。中島はマリ戦で同点ゴールを奪い、ウクライナ戦でも相手の脅威になった。原口は出場したウクライナ戦で守備でも奮闘しながら、ファイトし続け、攻撃ではドリブルで仕掛け、ペナルティエリアであわやペナルティキックというような場面も生み出した。このプレーにはシミュレーションとレフェリーに見なされてイエローカードを受けたが、自分がこの状況を打開したいという思いが感じられるプレーだった。一方で、チーム全体としては、他人任せにするようなプレーが多いように感じた。
過去のどの試合でも、積極性を失ったゲームでは、良い結果を得られていない。前回大会であるブラジルワールドカップの初戦でも、先制点を奪ってから消極的になったことで一気に逆転を許した。逆に、南アフリカ大会では守備重きを置き、リアクションサッカーのような戦術を取ったが、大久保嘉人、松井大輔の両ワイドの2人やワントップ(ゼロトップ)に入った本田圭佑が積極的に仕掛けることでグループリーグを突破できた。
必ずしも、積極性だけが結果を左右するわけではないが、それが欠如したチームにはW杯で勝ち上がっていく権利はないと言えるだろう。
この2試合から学ぶべき点、チームとして変えなければならない点は多くあるが、まず変えられるのは、選手ひとりひとりの意識だと思う。消極的なプレーをして負けるくらいなら、仕掛けて当たって砕ける方が100倍良い。もちろん、砕けてもらっては困るが、その姿勢が最も足りていない。ワールドカップで対戦する国のそのほとんどが格上である。それは周知の事実。日本は言わば、ジャイアントキリングを起こしていかなければならないのだ。格上を倒そうとする格下の我々が積極性や勝ちたいという気持ちで負けていたら、勝てるはずもない。
チームの戦術や成熟以前に、積極的に仕掛ける姿勢や、自分がこのチームを勝たせるんだという気持ちを持って試合に挑んでほしいと切に願う。
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