予想通りの出場時間だった。欧州遠征の2試合で約50分のチャンスを与えられた。この50分で26人の中で最もインパクトを残した。本大会に向けて暗雲が立ち込めているチームにおいて、一縷の希望の光となったのが中島翔哉だ。
不遇をかこった日本での日々。しかし、彼の見据える場所は決してブレることはなかった。正直、10代でA代表入りするのではないかと思っていたが、そう順風満帆にはいかなかった。しかし、ポルトガルへの切符を自ら手繰り寄せ、遠く離れた美しい空の下で、今までの鬱憤を晴らすかのように、満面の笑顔で眩い輝きを放っている。
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そして、やっと辿り着いた日本代表。遠回りをしたようにも思えるが、彼が歩んできた道は間違っていなかった。過去があって、今がある。そして、未来があるのだから。
マリ、ウクライナを相手に、自由にプレーできるレベルではなかったが、それでも自分の持ち味を発揮した。ボールを持ったときにワクワクする選手は、そう多くない。しかし、彼は、その1人だ。守備面に課題が多いのも十分に理解しているが、それが気にならないほどの武器がある。僕は彼に守備面で頑張ってほしいとは全く思わない。その分、攻撃で役割を全うしてもらいたい。
何かをやってくれる。この状況を打開してくれる。そんな期待感が彼にはある。今、彼が主戦場にしているのは左サイド。そこは、代表で最も高い競争率だ。それでも、その枠に入っていくだけの実力と期待がある。その可能性を50分で示したのだ。ロシアでの活躍次第では一気に世界のトップへの挑戦権を掴める可能性もゼロではない。
小さき勇敢なドリブラーは僕らの夢を乗せ、いざロシアの主役へ名乗りを上げる。
中島翔哉の物語はまだ序章にすぎない。
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