*Just the Way You Are* ~はみ出し者の旅~

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【ロシアW杯】一時代の終焉。そして、決心。『日本vsベルギー』

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Russia World Cup



 こんにちは、Kei(@s21cd4869)です。


大会は18日目、日本も決勝トーナメント1回戦。
大一番を迎えた。日本がこの舞台で戦える喜びと誇りを噛み締めたRound of 16。



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JFA公式より



 









 



前半

 

 こぼれ球を拾った香川がこのゲームのファーストシュートを放つ。


酒井宏樹がカラスコを封じる。流れを引き寄せるプレー。気持ちを感じる。


7分、柴崎から乾へのスルーパス。裏を取るプレーはこの試合の鍵を握りそう。乾はハーフスペースで受けようとするが、長谷部のパスは外側へ。ちょっとしたイメージのズレがみられる。


相手のビルドアップの際には、香川がスイッチを入れ、大迫がコースを切り、柴崎がカットを狙う形がみられる。


立ち上がり、乾が相手の裏を狙う形が多くみられる。意図的に狙っている。大迫はアバウトなクリアボールすらもマイボールにする頑張り。一つ一つの頑張りが日本に流れを引き寄せるはず。


球際では激しくいけていて、シュートへの寄せも悪くない。この戦いに懸ける気持ちを感じる。


ベルギーは両ウィングが落ちて5バック気味で守る形。その形を作らせれば、相手の攻撃力を下げることができる。ただ、中央が堅く、ボックス内へ侵入できていないので、得点の匂いがしないのが気がかり。カウンターで素早く3バックの横のスペースへ侵入したいところ。

 

 

カラスコ、アザールは原口と酒井宏樹で抑えて、左サイド(ベルギーの右サイド)を押し込むことでメルテンスとムニエの攻撃力を半減させるようなイメージか。ムニエのところは狙い目。分析の力だと感じる。意図的に狙っているようなプレーが数多く見られた。


ベルギーの両ウィングが落ちたときのその前のスペースではボールを持てる。そこで長友、酒井宏樹が前を向いてボールを持ったときに勝負をかけたい。長友、酒井がそのスペースで持ったときに、ハーフスペースを効果的に使いたい。


31分、左サイドで香川が相手と入れ替わりボックス内へ侵入、オーバーラップした長友から乾のヘディング。得点には至らなかったが、良い形での攻撃が見られた。


35分、インターセプトから速い攻撃。この形で一つ決め切りたいところ。


前半は、システムの噛み合わせ的にも、シャドー2枚がいて、今までのゲームのように、柴崎がゲームを組み立てる時間とスペースを与えてもらえない。これは日本にとって苦しい。


守備のときは、香川はサイドへ流れずに真ん中のコースを消している方が得策か。大迫が下がってくると、日本にとってはネガティブ。

 

 
前半は、0-0で折り返し。香川が前半で6km走っていて、90分は厳しいか。前半は、ベルギーに上手く走らされてしまった印象。この45分が、ゲーム終盤で効いてきそうな気がする。




 


 

後半

 

 48分、乾のボール奪取から、柴崎が素晴らしいスルーパス。信じて走った原口がフィニッシュ。守備に走ってきた原口の今までが報われたようなゴール。


 



52分、香川のキープから、乾のミドルシュートで追加点。自陣深くからのロングカウンターが決まり、日本が待望の追加点を挙げる。


クルトワがボックス外からのシュートに触れもせずにゴールを決められた場面はあまり観たことがない。それほど、乾のミドルシュートは素晴らしかった。


65分、メルテンス→フェライニ

   カラスコ→シャドリ


ベルギーは、この2枚交代で勝負に出る。


次の1点を先に取らなければ負ける。そんな予感はしていた。仮にベルギーが次の1点を奪ったら、流れが変わってしまう。何とかして、1点を守りたい。そしてあわよくばカウンターから、1点を先に奪いたい。いや、奪わなければいけない。そんな思いで日本の2点目から69分までを観ていた。


しかし、そんな嫌な予感は的中してしまう。


69分、右からのコーナーキック。シャドリのキックを川島がパンチングでクリアするも、そのこぼれ球をクリアしたボールにフェルトンゲンがヘディング。山なりに放たれたボールは日本の守るゴールへと吸い込まれた。


2006年ドイツ大会のオーストラリア戦、ブラジル戦。
2013年のコンフェデレーションズ杯のイタリア戦。
2014年ブラジル大会のコートジボワール戦。

数々のゲームの悪夢が蘇った。


そして、ベルギーのコーナーキック。アザールがふわりと蹴ったボールにフェライニが合わせて、2-2に追いつかれる。長谷部が体を当てられ、飛ばされていたシーンは忘れられない。


81分、原口→本田

   柴崎→山口


94分、日本のコーナーキックをクルトワがキャッチ。クルトワは素早く前線へフィード。デ・ブライネが長い距離をドリブルで持ち込み、右サイドを追い越してきたムニエへパスを送る。ムニエはグラウンダーのクロスを選択。このボールをニアでルカクがスルー。走り込んだシャドリがダイレクトでゴールへ流し込んで、ベルギーが勝ち越し。


ベルギーはシュート24本、日本は11本。
ポゼッションはベルギが58%、日本は42%。



息を飲んだ、美しすぎた9秒間



 最後のコーナーキックのときの選択、判断、リスク管理など、様々な要素は重なったが、敵ながら息を飲むような、とても美しいカウンターだった。こんなに美しいゴールで終焉を迎えるのならそれでも良いとすら思えた。




正解ではなく、最善でもなかったが腹を括った決断



 最後のコーナーキックについて、様々な意見を目にした。「ショートコーナーにするべきだった」「時間を使って、延長戦に入るべきだった」などの意見があった。しかし、僕はあのコーナーキックの選択が間違っていたとは思えない。


もちろん、リスク管理や、カウンターへの対応に問題があったことに異論はない。それでも、日本には交代で切れるカードは実質上残っていなかった。延長戦を戦い抜けるほど、体力的にも、身体的にも余力は残っていたとは思えなかったからだ。セットプレーの練習に時間を費やし、初戦のコロンビア戦でひとつ上手くいっていたことで、良いイメージは残っていたはず。それが全ての要因ではないにしても、勝負を決めにいくという決断をしたのだと思う。


あくまで結果論になってしまうが、あのコーナーキックが決まっていれば勝っていたかもしれないし、ショートコーナーにして、延長へ突入しても、フェライニにもう一発を食らって負けていたかもしれない。もっと言えば、点差はもっと開いていたかもしれない。


あの決断が正しかったとは思わないし、最善だったとは言えないが、少なくとも考えられる選択肢の中での確率を天秤にかけた結果のコーナーキックだったようにも思えるのだ。そんな覚悟を決めたそんなワンプレーだった。




 



善戦するも、必然だった敗戦



 ここまで日本が素晴らしい戦いをするとは夢にも思っていなかった。個々が今出来ることに全力を尽くした。その一方でこの敗戦は必然だったように思えた。即席チームの限界が明らかに見えたからだ。


日本には戦い方、つまり戦術が一つしかなかった。ベルギーは90分の中で、戦い方を変えた。しかし、日本は俺に対抗する戦術を持ち合わせていなかった。ミスマッチを狙った、フェライニの右ウィングでの投入。そこに合わせるための左ウィングにシャドリの投入。最初から用意していたプランだったのか、ゲームの中で考えたものなのか、正解はわからないが。


状況に応じた戦術をベルギーは用意していた。その差はあまりにも大きかった。日本はこれまで、やると決めた戦い方一つで戦おうとしてきた。これが柔軟性がないと言われる要因だと思う。日本にはベルギーが変えた戦術に対応する術を持ち合わせていなかった。


また、ベンチメンバーにも問題があったと感じた。こういった状況で効果的なカードを日本は持ち合わせていなかった。正直、様々な状況を想定して23名を選んでいたのかは疑問ではある。しかし、BIG3を全員使いながら、BEST16まで行った西野さんの采配はある方面からすれば褒められる出来だったのではないか。そのための監督交代だったはずだから。


とにかく悔しいゲームだった。日本サッカー史上、最もBEST8に迫ったゲームであったのは事実であるし、素晴らしい戦いをしたと思う。それは世界からの賞賛がそれを裏付けている。


しかし、惜しかったかと言われればそうは思えない。点差以上の圧倒的な差を感じた。日本がBEST8へ辿り着くまでの道のりはまだまだ長いと思う。2002年、日韓ワールドカップで対戦したベルギーは日本と同レベルの小国だったと記憶している。


だが、今大会で対戦したベルギーは間違いなく世界トップレベルのチームだった。国としてのサッカーへの熱量、取り組みの差、細かな歩みの差が大きな差となって表れた。確かに、黄金世代と呼ばれるほどの才能が出てきたということは少なからず影響したとは思うが、日本にはなかった改革をベルギーは取り組んできた。




BEST8へ入っていくための挑戦

 

 

 

 




日本サッカーのために自分が出来ることを小さなことから一つずつやっていきたい。そのために、努力し続けたい。どのような関わり方を出来るかは未だに分からないが、どんな形であれ、日本サッカーに関わっていけるように行動をしたいと思う。


サッカーというスポーツを伝えること、裾野を広げていくこと。日本サッカーが新たなステージへ進むために。過去を未来へと繋げていくために。


日本人がワールドカップトロフィーを掲げる瞬間のイメージを持って。



 




 

www.jtwya-s21.work

 



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