*Just the Way You Are* ~はみ出し者の旅~

サッカー、音楽、旅などについて書いてます。遠回りの人生の中で感じたことを只々、綴っています。お問い合せはフォームより。

【TOPICS】7年前の教訓をこの国は生かしているのだろうか。『エネルギー問題』

 


 あの日から、7年が経った。長かった7年なのか、あっという間の7年だったのか。それは置かれた立場によって、感じ方が違うだろう。


 2011年、3月11日以前は、永田町が騒がしかろうと興味が無かった。政治家たちが国会で重要な議論をしていたって、まるで興味が無かった。東京で暮らす僕らが使う電気が福島で作られている。その電気を作るために原発が建っている。そんな事実から目を背けていた。しかし、あの日を境に、今まで知らなかったことを学ぶようになり、今まで目を背けていた様々なところに、目を向けるようになった。というより、目を向けざるを得なかったと言った方が正しいかもしれない。


この7年間、自分なりに学び、考えて、向き合って、行動して来たつもりではいたけれど、この時期に情報などを見ると、まだまだ知らないことが多くあることに気付かされる。さらには、被災地が直面している多くの問題に対しての無知さを思い知らされる。



 


 僕の好きなバンドやアーティストの方々は、あの日以来、今日までずっと、継続して様々な活動をしている。僕はそんな彼らの姿を見て、今日まで生きてきた。支援やボランティアなどの活動をする彼らを見て、やれ偽善だの、やれ売名だの、そういった言葉が聞こえたこともあった。こんな時でも人の批判をするのかと愕然としたのを覚えている。しかし、7年間、活動を続けている今の彼らに、偽善や売名といった言葉をぶつける人はいなくなった。当時の僕は、仮にその行動が偽善であったとしても、人の批判をして、行動しない人より、偽善でも誰かの助けになるのならば、行動する人の方が正しいと思った。批判の声が無くなっていったのは、彼らの活動の本気さに気付いた人が増えたからだろう。偽善で、今日まで活動を続けることは出来ない。


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 政府が定めた復興期間は10年。あと、3年だ。とても、残り3年で復興が終わるとは思えない。津波に飲み込まれた街は、かさ上げされ、公営住宅や個人の住宅がちらほらと建っている。公営住宅では、共益費で賄うはずの建物の管理費が支払えずにいる。

土地をかさ上げし、建物を建てる。政府はそれで復興だと言う。しかし、被災地の方々は、そうは思っていない。見た目だけではなく、中身を見なければならないと感じる。共益費の問題もそうで、仮設住宅を出たから、「あとは勝手にやってね」では、あまりにも無慈悲すぎる。外に避難した方々が地元に戻れない現実もある。若者がただでさえ少なかった街には、お年寄りばかりが暮らしている。このままでは、街ごと無くなってしまうのではないか。

福島の原発から放射線が漏れ、住めなくなってしまった地域がある。原発が停止し、電力が足りないとのことで、計画停電も実施された。原発が稼働していない状態で夏を2度越えた。つまり、原発が無くても、電力は足りていたのだ。では、原発は何の為に稼働しているのだろうか。あれだけの事故があったにも関わらず、稼働させようとする政治家がいるのか。それは、甘い汁を吸える人がいるからである。


この事故を受けて、ドイツは脱原発とエネルギー変革へと舵を切った。フランスから電気を買うことが批判されていたりもするが、あの事故を受けた当然の対応ではないかと思う。そう考えると、当事者である日本政府のその後の対応には不信感を抱かざるを得ない。


 


南海トラフ地震や、首都直下地震など、明日か、何年後か、何十年後か、いずれまたそういった大災害が日本で起きると推測されている。”想定外”だと繰り返したあの日を忘れられない。安全性が確保された為、原発を再稼働させると政府は言うが、どんな根拠があって言っているのだろうか。

もし将来的に、あの日からのように、苦しむ人、悲しむ人が1人でも出てきてしまう可能性があるのなら、この国に原子力発電所など要らない。ただ、そこで働いている人がいるのも事実で、原発を廃炉にしていく為には、いくつもの問題をクリアしていかなければならないのも現実だ。

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ヨーロッパ洋上風力発電

 洋上風力発電では、イギリスが世界で最も整備が進んでいる。その他、ヨーロッパや中国でも、整備が進みつつある。今までは、風力発電では、十分な電力を作り出すことが出来ないと言われてきましたが、風車の大型化に伴い、発電できる電気量が増えたことで、各国が整備を進めてきた。

大規模化することで、原発に比べてコストが下がり、原発の廃炉費用などを考えると、洋上風力発電の方が圧倒的に得だと言われている。

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今年、洋上風力発電の大手のオーステッドという会社が日本に進出予定で、日本にも変革の波が訪れている。

 そんな中、秋田県沖に大規模な洋上風力発電所の建設を計画しており、この風力発電が”ベースロード電源”になると期待されている。しかし、エネルギー変革に壁が存在している現実もある。東北電力には、送電線の空きがないとされ、新規の送電線を既存のものに繋ぎ、基幹送電線を作るのに、600億円の費用がかかるとされる。


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その一方で、研究結果によると、東北電力の送電線は、12%程度しか使われておらず、これについて、東北電力は「事故の備えて半分程度空けていて、さらに国のルールで未完成や現在停止している原子力発電所8基など契約済の電源のために空けている」ことを理由に挙げている。

しかし、ヨーロッパでは送電線を空けておくことはあり得ないことだと、ドイツの送電会社「50ヘルツ」のコントロールセンター長は答えていました。「私たちは、事故を想定しても、70%送電線を使っています。送電線を使っていないのに、新しく作るなんてナンセンスだ」と答えていた。

ドイツでは、2017年には再生可能エネルギーが全体の53%に達しており、原発から再生可能エネルギーへと舵を切っている。

また、EUでは送電会社が完全に独立しており、既存の電力を優先することなく、市場で取引された安い電力から入る。一方、日本では大手電飾会社が送電線を所有しているため、市場も発達せず、新規参入者は不利な条項にあります。こうした流れもあり、政府は、送電線の有効活用の検討を始めています。事故に備えて空けていた送電線の一部を解放することも検討されているようだ。

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しかし、政府の議論に入る前の段階で、原発に空けた分などを新規参入者が同等の立場で使えるとした内容の項目が削除されてしまいました。これについて、電力広域的運営推進機関の計画部長である藤岡氏(関電からの出向)は、「決して意図的に消したということではなくて、今の制度の下で技術的にできることを検討している。当然、大きな制度設計は国の方になる。国レベルの話だ。」と答えた。

送電線の問題を突破できるかが、今後の大きなポイントとなってくるだろう。

 「ドイツも大変で、長い道のりだった。しかし、エネルギーシフトを目指し、変革したいのならば、政治決断が必要なのです。」とドイツ、ネットワーク庁のヨヘン・ホーマン長官は仰っていました。日本もドイツと同じように苦労することだろう。しかし、それは僕らの生活のため。僕らの将来のため、未来の日本のために最善を尽くすべきだと思う。目の前の利益にとらわれず、未来に目を向けるべきではないだろうか。そう思わずにはいられません。

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 昨今は、ヨーロッパだけでなく、お隣の中国も洋上風力発電をはじめ、再生可能エネルギーの活用へと、もの凄いスピードで進んでいる。何故、原発事故の教訓をもとに、抜本的なエネルギー政策への転換ができなかったのか。しかも今、国や原発会社が尚も原発にこだわり続けている。この国は、7年前からの日々で何を見てきたのだろうか。7年前に言われた原発が動いていなければ、電力不足に陥ってしまうという定説も、省エネや自然エネルギーなどの拡大により、起きていない。原発がこの国に必要な理由が僕には見つけられない。日本は、7年前に大きな教訓を得ながら、何も政策が変革できていない。


 国会に提出されている「原発ゼロ基本法」、これが見せかけのまま、見せ球として議論されずに終わらないことを望みたい。