*Just the Way You Are* ~はみ出し者の旅~

サッカー、音楽、旅などについて書いてます。遠回りの人生の中で感じたことを只々、綴っています。お問い合せはフォームより。

【川崎F】理想と現実の狭間で、待ち望んだ歓喜の瞬間 『初タイトル』『J1制覇』





 明治安田生命J1リーグ、最終節。試合終了のホイッスルと共に歓喜の瞬間が訪れた。初のJ1制覇。J2優勝はあったが、クラブとしての初タイトル。悔し涙を何度も、何度も流してきただけに喜びも一入だ。


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待ち焦がれた瞬間




 


重要な試合で敗れる度に、味わった屈辱


 ナビスコの決勝、ルヴァンの決勝、天皇杯の決勝、ACL、そして、Jリーグ。タイトルがかかった試合や、その手前の試合で幾度となく敗れ、苦汁を嘗めてきた。その度に、他クラブサポの友人などにも、ボロクソに言われてきた。毎年タイトルに絡んでいるクラブのサポーターだけでなく、タイトル争いとは程遠いクラブのサポーターにも、色々と言われてきた。内心、膓が煮え繰り返っていたが、僕は相手に文句を一切言い返さなかった。このクラブがタイトルを取ることで黙らせてやると思っていたし、何より、フロンターレのサッカーを、選手を、クラブを、サポーターを信じていたから。何を言われようと、このサッカーで、フロンターレの哲学を貫き通して、タイトルを取れると信じて疑わなかった。仮にスタイルを変えることでタイトルを取れるとしても、このスタイルで勝つことに意味があると信じていた。



このクラブに魅かれた小学生時代


 僕がフロサポになってかれこれ10年以上が経った。当時、小学生だった僕は様々なクラブのスタジアムへ足を運んだ。その中で、等々力でフロンターレの試合を観戦して、3点取られても4点、4点取られても5点取って勝つという攻撃的なスタイルに魅かれることになる。



攻撃的なスタイルの裏で、常に付き纏った問題



 ただ、クラブとしても苦しい時期があったのも事実で、関塚さん以降の時代は、なかなか優勝争いに常に絡んでいける力はまだまだ無かったのも事実だ。その中で、常に付き纏ったのは守備の問題で、攻撃力はJリーグの中でも上位のレベルだったが、失点が多すぎることが上位進出への鍵ではあると思っていた。それでも、どこかで何失点しようとも、相手よりも1点でも多く取って勝てばいいと考えていたのも事実だ。



一つのターニングポイントになった風間さんの就任

 
 2012年、風間八宏監督が就任。ここからの4年半がフロンターレのサッカーを大きく変えることになったのは言うまでもないだろう。90分、ボールを握り、自信を持ってプレーをする。そして、その中で個人のひらめきを出していく。風間監督が4年半ブレずにこのチームに植えつけ、表現し続けた哲学だ。まず第一にボールを失わないことを意識させた。また、選手の足元にパスを届けると言うところで、インサイドキックから練習は始まった。風間さん就任以前は、どちらかと言うと、堅守速攻のイメージが強いサッカーをしていたが、この4年半で自分たちがボールを持つことで、ゲームの主導権を握り、アクションを起こしていくサッカーへと変貌を遂げた。



個を活かしていくことでチームを組織していく


 風間サッカーを表現していく中で、選手たちは大きく成長していった。36歳になった憲剛が2016年のJリーグMVPを獲得したことが良い例だろう。憲剛を筆頭に、嘉人、僚太、悠など、全選手が技術的な面で飛躍的に進化を遂げた。組織の中で個を活かすという従来の常識を覆し、個を最大限活かすことによって、組織としていく考え方が風間さんの頭にあった。



ただパスを回しているだけではない、適応できる選手は多くなかった


 Jリーグな中でも異質なサッカーをしていて、どんなに実績のある選手や、どんなに技術のある選手でも、適応できなかったり、適応するまでにはかなりの時間を要した。適応できずに去っていく、新加入で加わった選手や、以前から在籍していた選手を数多く見てきた。



守備陣の補強が上手くいった2016年


  ソンリョンやエドゥアルドの補強が上手くハマり、守備が安定し、失点が減った。大久保が得点王を獲得する活躍もあり、チームは優勝争いを演じた。しかし、リーグも天皇杯もアントラーズに行く手を阻まれた。



大一番で勝ちきれない弱さ

 
 天皇杯決勝でアントラーズに敗れ、悔しさを味わって始まった2017年。1stステージでも、チャンピオンシップでも、大一番での弱さを露呈した。今季もルヴァンで苦渋を味わったが、その悔しさは確かな原動力となった。



一番面白いサッカーをしているという自信がある


 厳しいプロの世界。最後に勝たなければ、何も残らない。僕らはそんな思いを何度も感じてきた。 しかし、勝利を手にしようとも、退屈なサッカーをしているところもある。僕らは見ている人も、プレーしている選手も楽しい、そんなサッカーを標榜してきた。日本で、アジアで、いや、世界でも、一番面白いサッカーをしているという自信がある。僕らは理想を追い続けている。どんなに批判されようが、選手、サポーター、クラブが一丸となってJリーグの頂点まで辿り着いた。これからもその理想を追い続けていく。理想のサッカーを表現する日まで。



風間体制の終焉と鬼木体制への引き継ぎ


 風間さんから鬼木さんへとバトンは引き継がれた。クラブの歴史を知る鬼木監督の下、フロンターレの今シーズンはスタートを切った。攻守共にサボる選手が浮くようなチームになっていった事、苦しい試合を勝ち切れるようになった事、確かにチームは成長している。 



理想を追い求める為に、現実を受け入れた


 風間さん時代に追い求めた理想。その理想を追い求める為に、鬼木監督は守備を改革した。攻守の切り替えが早くなったことも大きかったが、何よりも大きかったのは、流れが悪い時間帯に守備で耐えることができるようになったことだ。今までは、流れが悪い時に耐えきれずに自滅したり、失点したりするパターンがあった。しかし、今季はボールを握れない時間帯がきた時に、全員で割り切って、耐えることができた。これによって、失点が減り、さらに負け試合の数が減り、勝ち点を積み重ねた。



今季も味わった悔しさ


 栄冠は手にしたが、今季もまた、悔しさを味わった。目の前で歓喜の瞬間を目の当たりにすることは何よりも辛い。ルヴァン杯のファイナル。攻めに攻めたが、1点が遠かった。しかし、2点目のカウンターを覚悟で1点を取りに行った姿勢は、素晴らしかったと思う。失点する覚悟で攻めたあの終盤の闘いは忘れずにいたい。



諦めず前を向いて戦い続けた終盤戦


 ビハインドで一人少ない中で逆転したホーム仙台戦。台風の雨のピッチに苦戦を強いられながら、辛くも追いついた日立台での柏戦。攻め続けて、終盤に1点をもぎ取ったホームガンバ戦。特に終盤には苦しい戦いがいくつもあったが、一つ一つ乗り越えていった。終盤戦の等々力の雰囲気は凄まじいものがあった。



信じ続けたその先に、待ち焦がれた景色


 あと一歩が遠かった。遠すぎた。フロンターレに関わる全ての人が待ち焦がれた景色はとても美しい景色だった。サポーターがブーイングをしなくて、ヌルいとか、プロモーションや企画を精力的に行ったり、批判は多くあったのは確かだ。しかし、周りから何を言われようとも、フロンターレは自分たちのやり方を貫いた。結果を出せば、今まで批判されていたモノも称賛へと変わる。世の中なんてその程度のものだ。信じて貫き通す事ができるかどうかが問われていたのだ。地域に根差したクラブとして、新たな方法を提示してきた。一度この景色を観て、この喜びを味わうと、もう一度味わいたいという欲が出て来る。今までにタイトルを手にしてきたクラブに関わる全ての人がそう思ってきたに違いない。



 




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涙を止めることは出来ず



新たな歴史を刻んでいく戦いへ


 最初のタイトルがカップ戦ではなく、リーグ戦であったことは今思うと良かったと言える。今までに味わってきた悔しさは、Jリーグ制覇という形で報われた。しかし、ルヴァンや天皇杯、ACLでの悔しさは、その大会でしか晴らせない。メンバーは変わってしまうけど、チームとして、悔しさを喜びで上書きしていく、そんな戦いが来季から始まる。





フロンターレに関わる全ての人へ、おめでとう!!
そして、感動をありがとう。




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